向精神薬:さまざまな定義があるが、「中枢神経(脳)の他の機能に重大な変化を与えることなしに、精神機能や行動あるいは情動面に著しい影響を及ぼす薬物」と言えよう。抗精神病薬(統合失調症の治療薬)、抗不安薬(神経症の治療薬)、抗うつ薬(うつ病の治療薬)、抗躁薬:気分安定薬(躁病の治療薬)、睡眠薬(不眠の治療薬)、抗認知症薬、精神刺激薬に分類される。
抗精神病薬:向精神薬の一つ。統合失調症の治療薬であるが、認知症周辺症状の興奮などに効果がある。
診療のポイントコンテンツ
- 私の精神科診療のポイント
- 外来症例
- 外来症例1 孤立不安から生じた身体化障害
- 外来症例2 突然発症する歩行障害と手の痛み
- 外来症例3 老年期の食思不振症
- 外来症例4 統合失調症者の突然の右手指振戦
- 外来症例5 脳性麻痺の高度不安・過緊張状態
- 外来症例6 パニック障害の病名告知と治療
- 外来症例7 普通高校卒知的障害者の職場不適応
- 外来症例8 暴力を伴う難治性てんかん
- 外来症例9 さまざまなうつ病(II) 過重労働によるうつ
- 外来症例10 さまざまなうつ病(IV) 過重労動による軽症うつ
- 外来症例11 少量の抗認知症薬が著効したアルツハイマー型認知症
- 外来症例12 認知症の周辺症状と薬物療法
- 外来症例13 さまざまなうつ病(V)抑うつ妄想状態
- 外来症例14 特発性過眠症として紹介された過労性過眠症
- 外来症例15 抗うつ剤には無反応なうつ状態(引き篭もり状態)
- 外来症例16 動悸を主訴に受診したてんかん(情動発作)
- 外来症例17 超早期に治療導入された統合失調症
- 外来症例18 「耳鳴り・眩暈・血圧変動」が主症状の老年期ストレス性過覚醒状態
- 外来症例19 パワハラにより身体症状発症し長期休業を要した適応障害
- 外来症例20 28年間持続した重症チックの薬物療法
- 外来症例21 注意欠如・多動性障害(ADHD)の薬物療法と養育
- 外来症例22 うつ病として紹介された適応障害の治療
- 外来症例23 伝票操作が突然不能となり受診した高齢患者のパニック状態
- 外来症例24 長期不治であった舌痛、頭痛、耳鳴りの診断と治療
- 外来症例25 各科で身体疾患と誤診された身体化障害
- 外来症例26 生活指導が奏功した心因性発熱
- 外来症例27 ストレス誘発性過眠症と身体化障害
- 入院症例
- 入院症例1 入院治療を要する若年初発統合失調症
- 入院症例2 エビリファイが著効した攻撃的アルツハイマー型認知症
- 入院症例3 うつ病として診断治療されていた適応障害
- 入院症例4 多様な病名で診断・治療されていた適応障害
- 入院症例5 激しい口舌ジスキネジアによる嚥下・服薬不能例
- 入院症例6 パワハラにより発症したうつ病
- 入院症例7 うつ病として紹介された神経性食思不振症
- 入院症例8 極少量のリスペリドンで発症した悪性症候群
- 入院症例9 さまざまなうつ病(I) 拒絶の強いうつ
- 入院症例10 さまざまなうつ病(Ⅲ) 引きこもりうつ
- 入院症例11 アリセプト中止で興奮症状が改善したアルツハイマー型認知症
- 入院症例12 パニック障害から10年間昼夜逆転生活
- 入院症例13 超高齢者のせん妄の薬物療法
- 入院症例14 他院から紹介された重症統合失調症患者
- 入院症例15 抗精神病薬で歩行転倒リスクが改善したアルツハイマー型認知症
- 入院症例16 うつ病のリストカットとして紹介されたアルコール依存症
- 入院症例17 新型うつ病とその治療過程・病態生理
- 入院症例18 統合失調症として紹介された薬物依存症
- 入院症例19 難治性躁病の薬物療法
- 入院症例20 抜歯を契機に拒絶状態となり生命危機に陥った知的障害者
- 入院症例21 頻回に入院を繰り返す躁うつ病者の再発要因とその対策
- 入院症例22 ジプレキサ長期投与中に突発発症した急性ジストニア
- 入院症例23 長期間引き篭もりを続けた高機能自閉症の治療
- 入院症例24 診断困難で紹介された睡眠時初発の重度パニック障害
- 入院症例25 低Na血症を合併し認知症状が増悪した症状精神病
- 入院症例26 悪性症候群後遺症と医薬品副作用救済制度
- 入院症例27 抗うつ薬の副作用で低Na血症発症し、不動状態を呈した認知症
- 入院症例28 抗パーキンソン薬の副作用で幻覚妄想、興奮、ジストニアを呈した認知症
- 入院症例29 アリピプラゾ-ル増量により重度錐体外路症状を呈した双極性障害の薬物療法
- 入院症例30 誤った治療戦略により難治化した双極性障害の遅発性ジスキネジア
- 入院症例31 重症昏迷の診断と治療過程
- 入院症例32 アカシジア出現により、診断・治療に難渋した不安障害
- 参照
- 参照1:統合失調患者の薬物療法指針
- 参照2:遅発性ジスキネジアの治療
- 参照3:ヒステリー(身体化障害)について
- 参照4:パーキンソン病の3大徴候
- 参照5:食事無理強いせず平穏死を
- 参照6:パニック発作と薬物療法
- 参照7:SST
- 参照8:柔道療法とは
- 参照9:イントラリポス
- 参照10:悪性症候群
- 参照11:フェノバール血中濃度
- 参照12:覚醒水準とうつ病の薬物療法
- 参照13:急性期病棟
- 参照14:抗認知症薬の薬理作用
- 参照15:抗認知症薬の効果
- 参照16:認知症周辺症状の治療と覚醒水準
- 参照17: 向精神薬 と 抗精神病薬
- 参照18:アルコール性振戦
- 参照19:躁うつ病(気分障害)の長期予後
- 参照20: 西川型外来SST 手法と奏功機序
- 参照21:アカシジア(akathisia; 着座不能症)
- 参照22:老年期の低Na血症
- 参照23:医薬品副作用救済制度
- 参照24 : 気分安定薬の作用機序
- 参照25 : 心因性発熱
- 参照26 : カタトニア昏迷と悪性症候群昏迷の比較
- 参照27 : 薬原性錐体外路症状(EPS)亜型の特徴と病因
- 参照28:向精神薬の減薬・退薬
最近のコメント
- 入院症例1 入院治療を要する若年初発統合失調症 に 西川正 より
- 参照1:統合失調患者の薬物療法指針 に 西川正 より
- 参照1:統合失調患者の薬物療法指針 に 西川正 より
- 参照1:統合失調患者の薬物療法指針 に 西川正 より
- 参照17: 向精神薬 と 抗精神病薬 に 西川正 より
リンク
メタ情報
急性一過性精神病障害と双極性障害です。
現在アリピプラゾールとデェビゴを処方されてます。過去にはルネスタも使っていました。覚醒剤に似た薬と聞きメチルフェニデートを処方してもらってから色々上手くいかなくなり休学することになりました。遊び半分で向精神病薬に手を出したことを後悔していますが、あの時あの医師に当たらなければと思わずにいられません。メチルフェニデートは簡単に出してはいけない薬でしたよね?
アンフェタミン類似薬物であり、よほど適応を見極め、慎重に処方する必要がある薬物と考えます。
(病名や処方そのものではなく)世間的な処方薬や睡眠障害についてのイメージについての質問
※もちろん勝手に断薬する気は全くありません。
【質問】
はじめまして。誰にも忌憚ない意見を聞くことや相談ができず困っているので、質問をさせてください。
初診の病院・薬局でお薬手帳を出すと、リスペリドンを処方されていることを理由に「躁うつの上に病識も全くない患者」と決めつけられてしまうようなことが少なくなく、お薬手帳を提示するのが苦痛です。「抗精神病薬を服薬しているような人にフルタイムの仕事は無理だよ」と頼んでいないのに説かれることや「そんな危ない薬はやめなさい」と説教をされることもありました。更には、個人病院でのワクチン接種を断られたこともあり、実害が出ていると感じます。引越しの度に内科や耳鼻科等の科の病院探しの難航します。
・このような薬は医療従事者の間でこれほどまでにイメージが悪い物でしょうか?
・また、私が理解している以上にリスペリドンとマイスリー(ルネスタ)は非常に危険な薬でしょうか?
【処方状況等】
年齢:28歳, 性別:女性, 職業:研究職
主訴:入眠困難
心療内科初診:22歳頃
処方:マイスリー5mg, リスペリドン液1.0mg(それぞれ2.5mg, 0.5mgで適宜調整を許可されています)(マイスリーは数ヶ月でルネスタと交代), チザニジン1.0mg(肩こりがひどい日の眠前)
現薬の処方歴:マイスリー(ルネスタ)は4年程度, リスペリドン・チザニジンは定着して半年程度
※統合失調症と感情障害の全てを完全に否定されています
【背景】
都内大学院を修了後、実家近くの地方の研究所で研究職として勤務しています。新生児の頃より極端に寝つきが悪く現在も毎晩入眠が難しいです。忙しい時期や研究で良いアイデアを閃いた時は特に寝づらく感じます。両質共に満足な睡眠を取れない日が続くと、身体の疲労感と認知機能の低下を感じるため、22歳頃に自らの意思で心療内科を受診しました。現在は睡眠専門医にかかっており、服薬をしている限り睡眠の問題は感じず、また他の精神疾患の既往歴や大きな心配事はありません。
性格は社交的な方とよく言われ、さまざまなコミュニティに属することが好きです。中には苦手な人もいますが、ほどほどに距離を置き、記憶にある限り対人関係で致命的なトラブルを引き起こしたことはありません。時には不安を感じたり落ち込むこともありますが、中長期的なレジリエンスは人並み以上に高い方だと思います。
過去には上記の処方以外に、ロゼレム, ベルソムラ, デエビコが処方されましたが、全てが現在の処方薬よりも効果に乏しく、また副作用(日中の眠気と頭痛と睡眠時間の2時間以上の延長)が辛すぎることから現在は使用されておらず、今後処方されることもないと思います。
このような理不尽な(偏見に満ちた)言葉を浴びせられたり、ワクチン接種を断られるような実害を受けておられ方がおられる事を始めて知り、驚愕しています。非定型抗精神病薬の時代になり内科医でも同薬を多用される(副作用の知識に乏しく、過剰使用の場合もある)問題ケースもありますが、貴女は睡眠専門医で治療を受けられているので、問題はないと思います。どうか胸を張って現在の治療を続けられて下さい。
はじめまして。
統合失調症、双極性障害1型です。
今、飲んでいる薬はラクミタール25mgレキサルティ1mg眼球上転時にビペリデン1mgです。眠れないのでデエビゴも飲んでいます。
あとはエビリファイの注射です。
私が悩んでいるのは眼球上転です。3日に一度の頻度で起きます。起きて治るまで5時間かかる時もあります。あまりにも頻発するので、いやになってきました。
何か飲んでいる薬で眼球上転の原因になるものはあるでしょうか?
よろしくお願いします。
エビリファイ注射、レキサルティとも、眼球上転を起こします。
この二剤を含め、抗精神病薬と呼ばれる薬には錐体外路症状(EPS)という副作用が起こることがあります。眼球上転もそのひとつです。EPSが起こりにくいのはクエチアピンです。主治医と相談され、可能なら処方変更してもらわれたらいかがでしょう。
抗精神薬で検索でてきたので相談させてください。
14歳ごろの時 境界性や双極 適応障害 自律神経と言われ様々な抗不安剤飲み結局対症療法で(デパスやマイスリー リーゼ ワイパックス ハルシオン)
どっかの病院でエビリファイもらい そしたらなにも感じなくて 辛くない楽しくない思い出に残らない。
なんだか散々で高校からはカウンセリングメインに治療。寛解していました。
が26歳現在 久々のパニックというか頭が混乱し自傷の再発(学生ぶり)希死念慮に襲われどうしていいか分からず精神科受診。
たいした検査もカウンセリングもなく 初診でラツーダ20処方。
抗精神薬にいいイメージがないのでちょっと不安。車の運転と過去ODの事実があったので抗不安薬なしのラツーダのみです。
そんな変な処方ではないのですかね、、
このままとりあえず飲み続けるべきなのかな、と。まだ3日目ですが
パニックにラツーダ単剤処方は私的には違和感を覚えますが、まだ3日目だそうですので、効果を主治医に報告されて薬物調整して貰われたら如何でしょうか。
2か月程あとにすごく喋る事に気づいた自分がいます。(2日程ハイな気分で喋っていて自分でもおかしいなと思えました)
4ヶ月ほどたった頃から不眠が始まって寝る事が得意だったのに5時間しか寝れなくり徐々に寝れる時間が減ってきました。
体重も急に落ちました。食欲もなくなってきました。
この頃から何をしても楽しくなくなり
鬱状態が始まりました。朝は気力で大丈夫ですが仕事帰りの17時頃はしんどかったです
10ヶ月たった頃にご飯が食べれなくなり
お粥を食べていました。その内ご飯に何を作ったらいいのか分からない状態になり
味がわからない。食べても美味しいと思わない。
空腹感がない。満腹感がない。となりました。
家族身内に双極性もいませんし 精神科にかかった人もいません。
12か月目に1日の中でしゃべらずに落ちる時間と喋る時間があった事がありました。
今現在寝れなくて外出する気もおこらず食欲はありません
何にも興味がわきません
感情が無くなったみたいに感じます
ご飯も何を作っていいか分からず作ってもらった物を食べます。美味しいと思う事がなくなりました。食べた感もありません。
双極性障害かうつかどちらの症状だと思いますか?
診断は双極2型障害で現在はうつ状態を呈しておられると思います。現在の処方に抗うつ薬を追加処方して貰われたら改善すると思います。
家族が2020年夏頃〜激務のせいで
心身不調(うつ?)になりました。
春までは異動もできず
睡眠薬・頭痛薬・抗うつ薬を
飲み、何とか乗り切りました。
2021年4月に異動でき、激務も
なくなり、不調もないと思います。
医師に調子を詳しくは言えていない
かもしれません。
減薬は少しずつのようです。
今は
セルトラリン錠 50mg 1日1回
フルニトラゼパム錠 1mg1日1回です。
減薬のペースは上げれそうでしょうか?
(私は上げれるのでは、と思います)
例えば、半年で何mgずつ、合計2年など
ざっくりの目安のペースなど
ないですか?
色々すみません。
できれば教えて下さい。
宜しくお願い致します。
減薬に焦りは禁物です。まずは症状の安定を重視すべきです。ここで減薬のペースの詳細を記述する事は紙面が限られており困難です。昨年11月に星和書店から「精神科診療のポイント」を上梓し、その参照に「向精神薬の減薬」について詳細を記載していますので、宜しかったらそちらをご参照ください。
統合失調症で入院中の息子・49歳について。入院間もなく嚥下障害で、食べられなくなりました。栄養ゼリーやプリンやヨーグルトはごくごく飲みます。抗精神薬を使うと無反応気味になり、現在何も薬剤は使わないでおります。3ヶ月も掛かり未だに改善なく、主治医は転院も口にすることも。何か、方法か有効な薬剤はないでしょうか。日々痩せて週一のipad面会ですが、かなり痩せてきて焦っています。
遷延性錐体外路症状と思います。この疾患の治療には極めて専門的な知識を要します。生命的危機状態と思いますが、胃瘻にて抗精神病薬の効果消失を待つのも一法かと思います。
はじめまして。私は、統合失調症を発症してオランザピンOD錠5mgリスペリドン錠0.5mgマグミット錠500mgを就寝前 バルプロ酸ナトリウム錠200mgランドセン0.5mgを朝食後、就寝前に服用しています。生活のリズムを崩した時、眼球上天になりそのたびにランドセン0.5mgを服用しています。眼球上天時は、体がきつく集中力もありません。多量の服薬をしているので副作用が心配です。今光トポグラフィーの再診断も検討してますが如何でしょうか?ご意見宜しくお願いします。
眼球上転発作ですね! 抗精神病薬をもう少し減量して貰われるか、アーテン(セドリーナ)(2)1T分1 朝
追加処方して貰われると消失すると思います。光トポグラフィーの再診断は必要ないと思います。
私は双極性障害なのですが、疲労感を伴う、うつ状態を呈することはありますか?仕事は忙しくないのに動く事自体、歩く事自体に疲れるといった有様です。
こういった時は抗うつ剤が第1選択なのでしょうか?
ちなみに今はアナフラニール100㎎、パキシル40㎎を服用しています。
ご教授ください。
双極性障害であれば、当然うつ状態を呈する事はあります。ただアナフラニール100㎎、パキシル40㎎の処方は重度単極性うつ病の処方であり、双極性障害の処方としては違和感を感じます。状況を詳しく主治医に話されて、必要であれば、薬物調整を行って貰われては如何でしょうか。