薬物療法
まず著者の薬物療法の原則を簡潔に述べる1,2)。抗精神病薬の処方に際しては、幻覚妄想状態や、精神運動興奮状態など精神症状の状態像の診断を重視する。そして現在の状態像から推察される「覚醒水準」を最重要視する。急性期に大量投与を行う必要があっても、次第に鎮静し、覚醒水準が低下してくると、眠気、ふらつき、構音障害などの行動毒性が出現してくる。標的症状と行動毒性を指標に1~2週毎に徐々に減薬を行い、最少有効量を維持量とする。
非定型薬時代の現在では表1に示したような原則により薬物療法を行っている。入院症例1は難治例であり、エビリファイ(アリピプラゾール)よりもジプレキサ(オランザピン)が有効と考え、処方し著効したと考える。
文献
1)西川 正:抗精神病薬治療の実際. 稲永和豊, 田中正敏編, 向精神薬, 東京, 医歯薬出版,
169-193, 1988
2)西川 正:分裂病治癒者のカルテ. 東京, 星和書店,1-164, 2002
表1 抗精神病薬の選択(西川正:福岡PPST研究会セミナー. 2008.6.13)
| 激越 | 第一選択 ゾテピン |
第二選択 ブチロフェノン系 プロペリシアジン |
| Augmentation; 炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム | ||
| 非激越 | リスペリドン スルピリド アリピプラゾール |
難治例 オランザピン QOL向上 ペロスピロン アリピプラゾール EPS脆弱例 ペロスピロン クエチアピン |